オリジナル創作「ボクと、恋と、御主人様。」の18話です。



オリジナル創作となりますので大丈夫な方だけどうぞ!
今回は千怜視点になります。

キャラクターや物語詳細は総まとめの記事を参照よろしくお願いします。



▽以下オリジナル含みますので注意してくださいね。







「よぉ、千怜!花奏とのデートは、楽しかったか?」

「絡むな」



生徒会室での勉強会で久々に顔をあわせる事になったオレと伊織

楓と知り合ってから寺苑といい何で会いたくない人物と再会するのだろうか



「けっ、ボンボン野郎め」

「だっだめだよ、廉馬。西園寺君はうちの常連客だって…」

「けっ」



それにプラス口が悪い近衛の弟がついてきて…オレは周りの人間関係を呪うのだった





18話「追試とシスターコンプレックス」





あれから楓が伊織と廉馬と知り合い連絡先を交換し仲良くなったらしく

オレは会いたくない人物達と顔をあわせるようになった


楓の追試が迫った放課後、楓に最後の追い込みをさせるためにオレら教室に残っていた



「みずきちーーっ!これは?」

「そんなに叫ばなくても聞こえてます。待ってください」



とてとてと楓の方に向かう瑞稀を見てオレは読んでいた本を置きため息をついた



「「はぁ・・・」」



・・・胸くそ悪い事に隣に座りパソコンを開き作業をしていた寺苑とかぶった



「何だその、僕とかぶった、人生の汚点だ。みたいな目は」

「ああ、そう思っていたからな」

「僕も汚点だ!」



ジリジリと睨めつけあうオレ達

もうかれこれこんな事が繰り返し何回も起きていた



「千怜と桜之進は相変わらず仲悪いな。仲良くできないもんかね?」

「「無理だ!」」



近くにいた伊織がボソっと言った独り言につっこむオレ達

またかぶった・・・



「これは似たもの同士ってやつだな。おもしれぇ」



本当に胸くそ悪い

そんな中、楓に勉強を教えていた瑞稀が口を開いた



「もう皆さん、今は楓の勉強会中なんですよ。もう少し協力しようという気はないんですか?」

「「「「ない」」」」

「ひどっ!!」



一斉に口を揃えたオレ達に楓がつっこむ

そんな様子をみてやれやれという呆れた顔をする瑞稀とむっとするオレ達がいた





オレと寺苑は机に座り自由に本を読んだり、パソコンで作業をし

伊織と天満と廉馬は何故か勉強会をする教室の端でトランプをしていた

見事に勉強を教えているのは瑞稀のみだった

勿論オレは勉強会などに参加するつもりは、ない



「ちぃくん・・・」



そんな中、オレを呼ぶ楓の声が聞こえてきた



「何無駄口叩いてんだ?勉強しろ」

「みずきちと先生役を変わってよ・・・」

「何でだ?お前が大好きな“みずきち”だろ?」

「だってだって!!」



オレを見る楓は涙目になっていた

助けを求めているようだが、オレは知らん



「あと残り3分ですよ。楓」

「ひぃぃぃぃ!!!!」

「解けないと次は先程の2倍の強さのハリセンの刑ですからね」

「みずきちがちぃくんみたいにいいいい」

「ほら手が止まってますよ?」

「みずきちが鬼にいいいい」

「誰かを指導するって、素敵ですね」

「ひぃぃぃぃ!?」

「・・・なんだオレみたいって」



とりあえず瑞稀の教え方はスパルタなのだ、容赦無い瑞稀のスパルタに楓の心は折れかけているのだろう



「・・・相変わらずだな」



寺苑が独り言をつく

これは昔からオレも寺苑も瑞稀のスパルタ指導を体験した事がある・・・経験からの独り言だった




その後、問題を解けないと瑞稀からのお仕置きという名の指導が続き

助けを求める楓の声は誰も聞き止めないまま時は過ぎていった







「・・・やりきった!」



3時間後、瑞稀が考えたカリキュラムを終わらせた楓が一息ついていた

まさか瑞稀が作ったカリキュラムを最後までやり遂げるとは・・・



「・・・お前、やればできるじゃないか」



寺苑も楓に一言かけていた

オレもさすがに驚愕したが

こいつが七河財閥の跡取りというのがそれなら理由付けられるかもしれない、そう頭をよぎった



「まさかやり遂げるとは。楓、見直しました」

「え!!俺が好きって!?」

「言ってません」



・・・根本的には馬鹿なんだろうが



「おおやっと終わったか!ババ抜きも135戦目に入るところだったぜ」

「・・・ババ抜き。よく飽きないな」

「俺は飽きてたが、しょーがねぇからな、付き合ってやってたんだ!」

「廉馬…一番楽しんでなかった?」

「う、うるせー!」



どうやらババ抜きをしていたらしい伊織と双子に寺苑がつっこむ

それと同時にオレは帰る支度をはじめた



「ちぃくん、何帰る準備してるのさ?放課後はこれからだぞ!」

「放課後というか、お前のせいで夜の7時だ。瑞稀を貸してやったんだオレは帰る」

「えー!!」

「お前は帰ってから明日のための勉強をしろ!」

「帰ってまで勉強なんてやだよ!」

「そんなんだから赤点を取るんだ!」

「痛い痛い!ちぃくん痛い!」



オレは楓の頭を掴み、力をこめた

付き合ってやった身になれ



「それに、まだいおりん達と仲良くなりたいんだよ…そのためにそこで待っててもらってたのに」

「ああ、俺たちの夜はこれからだぜ!」

「・・・馬鹿が増えた」



伊織と双子が追加された事でオレの心労は増しただけだった



「楓。伊織さんには気を付けてくださいね」

「ん?何に?」

「いえ、花奏様関連で、主にと」

「かなちゃん?あぁ、元気かな、かなちゃん!あれからたっくんとの仲も進展してればいいけど」

「・・・たっくん?仲?」

「・・・いおりん?」



瑞稀が花奏の名前を出した瞬間

伊織の目が変わった



「おい、紅葉か落ち葉かわかんねぇけどお前!たっくんって誰だ?詳しく教えろっ!!」

「!? なんかいおりんが変わった!?」

「げっ!?おい七河!伊織に何かぶつけやがったのか?」

「な、何も…ただかなちゃんの名前を…」

「だから忠告したのに…花奏様関連にはご注意くださいと」

「あー妹か、俺はそれは知らん」

「れんちゃん!?」



楓にいきなり詰め寄った廉馬は自分で納得するとすぐ引き下がった

楓は何が何だか分からない様子だ



「……おい、紅葉狩り」

「俺は楓だよ!!」

「たっくんって誰だ?」

「何って…先輩だよ、3年の!!綾小路拓人先輩だよ!!!」

「綾小路…覚えた。んで花奏とはどんな関係なんだって?」

「ひぃぃぃぃ!!」



またあの病気か・・・

オレと伊織を知るこの場にいる楓以外の人物は呆れ気分でいた

伊織と付き合うとこれは日常茶飯事なようなものだったからだった



「楓。伊織さんはあれです」

「…あれって?」

「シスターコンプレックス。所謂シスコンです」

「……んな訳だ。教えてくれるよな?綾小路さんとやらの事」

「お兄さん怖い!!」


「廉馬…七河君もだけど如月君も怖いもの知らずだね」

「ああ…なんなんだ、こいつら」



それから伊織が納得するまで楓は付き合わされる事となったのだった…





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数日後ーー



「ちぃくーん!ほらほら追試、高得点だよ!満点!!」

「千怜ー!綾小路とやらは花奏の片思いだそうだ、やったな!」

「千怜ーっっ!俺様も追試の赤点は回避したぜ、褒めろ!」


「いちいち報告しに来なくていいっ!!」



補習を回避した楓と響先輩

そしてあれからしつこく花奏に聞きまくったのだろう、伊織が結果を報告しにオレの元に来ていた


そんな3人に蹴りを入れる



「千怜様、楽しそうですよ」

「そう見えるならお前も蹴りを入れられるか?」

「だって…笑っています」

「……ふん」



「あー千怜真っ赤になってやんの!」

「ほんとだーちぃくん可愛い」

「ぷっ…千怜、お前可愛いな」

「うるさい!蹴られろ!!」

「昔から変わらんな、お前は」

「寺苑…お前までおまえらっいい加減にしろっ!!」



そんな真っ赤になりながら声をあげるオレを見ながら瑞稀は笑顔を見せていた


優しい、そんな笑顔をーー





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追試対策回完結です。久々の千怜視点ですね。
楓と伊織の絡みと、実は瑞稀はスパルタ指導好きという発覚展開も。んで相変わらず楓が受難を。

伊織は極度のシスコンです。
そこはまた伊織回で掘り下げていきますが、拓人のこれからが心配ですね!


無事に補習を回避した楓と響ですが響は阿兼からの超スパルタ指導があったとかなかったとか…

追試対策回完結です!
次は瑞稀メイン予定となります。


ここまで読んでくださりありがとうございました。