オリジナル創作「ボクと、恋と、御主人様。」の20話です。




今回も瑞稀視点になります。
主にメイン3人との話になります。ちょい動きがあったかな?



物語詳細やキャラ紹介や総まとめの記事を参照よろしくお願いします。




▽以下オリジナル創作含みますので注意してくださいね。









「さて今から第18回みずきちの身辺の悪い虫について!の会議をはじめます」




飛鳥ヶ丘学園の会議室空き部屋にて

それはボクがさく様から謎のメールをもらった次の日に起きたのだった――







20話「キミとボクをつなげる言葉」







「おい、こんな謎会議が今まで17回も開催されてたのか?」

「いえ、ボクも初耳でした。なんですかこの会議」



ボクとさく様はこの会議について考えてみた

しかし一番理解不能なのが・・・



「さぁ楓、すぐにはじめろ」



千怜がノリノリなのだ



「千怜!お前はこういうネコミミ帽子のやらかすことにはのらないと僕は思っていたのに・・・」

「オレだって楓の意見に賛成の時もある」

「ちぃくんが味方ってだけでなんかもう一騎当千だよね!」

「・・・・・・」



さく様が頭を抱える

その間に千怜はどこから持ってきたのかホワイトボードに


『議題:瑞稀の御主人様について』


と書いていた




「そう!今日の議題はみずきちの主人について!もちろん俺はみずきちのフィアンセ・・・ぐはっ!!」



言い終わる前に千怜から楓に蹴りが入れられていた

そんな楓を遠目でみながらボクは千怜に質問する



「千怜様・・・ボクの御主人様はあなたですが」

「ああ、しかし昨日お前にこんなメールが届いただろう?」



そう言って千怜が自分のスマホを机に置き画面をみせる

その内容をボクとさく様が覗き込むと・・・



『緊急事態だ。僕の専属執事になれ』



そう書かれたメールがあった

それを見たさく様の顔が青くなっていき、千怜に詰め寄った




「っつ!!なんでお前がこのメールを持ってるんだ!?僕は瑞稀に送ったはずだぞ!!」

「瑞稀に送られたメールは全てオレが把握している。主人なんだ当たり前だろう」

「こいつに人権はないのか!?」

「オレはこいつのご主人様だからな」

「えっ!?じゃあ俺が送ったみずきちへのあんなメールやこんなメールもちぃくんが把握して・・・」

「お前は瑞稀にどんなメールを送ってるんだ!?」

「・・・楓、あとで路地裏な」

「ひぃぃぃぃ!!??」




ツッコミを入れるさく様と静かにキレる千怜

そんな二人をみながらボクはため息をつく。また千怜のドS心が働いているのだと理解したからだ



「お二人共。千怜様はボクのメールを全て把握なんてしてませんよ」



軽くパニックに陥る二人に向けてこう言った

主人だからと言って千怜はボクをそんなに縛ることなんてしない、そうわかっていたからだ

それを聞いた二人は安堵し、一斉に目線を千怜に向けた



「お前らが見られてまずい内容を送ってるのが悪い」

「俺はただみずきちへの深いふかーい愛をメールという文章に乗せ毎日送信してるだけだよ!」

「その愛が重いのですが」

「みずきちひどいぃぃぃぃ」



うなだれる楓、そんな近くにいたさく様はわなわな震えている



「僕はそんな読まれて困るような事は送ってないがな。毎月の手紙交換の返事の義務だ、うん」

「・・・・・・先月の夜会で門弟の女性に着せ替え人形にされたんだっけな?」

「!? お前やっぱり読んでるじゃないか!?」

「・・・さくちゃん、女の子みたいだもんね、着せ替えしたくなるよね、うん。泣いていいよさくちゃん」

「同情するなあああああ」



話は収集つかなくなってしまったこの会議

ボクはぎゃあぎゃあ騒ぐ3人をよそにお茶の用意をするのだった





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「本題に戻る!寺苑。このメールは一体なんだ?」



ボクが淹れたお茶でようやく収集がついた3人は会議を再開した

やはり問題はこのメールの件だったらしい

実はこのメールが来た昨日の今日、朝に登校中の車の中でボクは千怜にさく様からこんなメールが来たと報告していたのだ

正直ボクもこの内容がよく分からなかった、なのでさく様から詳しく聞けるのは助かった



「何がって文面の通りだ。僕の専属執事になってもらいたいだけだ」

「ほう・・・西園寺家を敵にまわすのか。いい度胸だな」

「ふん」



睨めつけあう二人

そんなさく様にボクも疑問を投げかける



「さく様、ボクは西園寺家の執事です。寺苑家の執事として働けって事ですか?」

「みずきちは俺のなんだから!!」

「楓は黙っててください」



入り込んできた楓を粛清しながらさく様の返事を待つ

何か考えるようにして、決心したのかさく様は語りだした



「・・・瑞稀だけに話そうと思ってたんだが、1週間僕の身の回りの世話をお願いしたい」

「1週間?」

「ああ、来月に僕の家のものが全員公演があり出払ってしまう日があって屋敷に僕1人になる日があるんだ。僕の専属執事も人数合わせでついていくことになって、僕の身の回りの世話をするやつがいなくて」

「自分でやれ。というか公演についてけ」

「出来ないから言ってるんだ!」



どうやらさく様もその公演に誘われたのだがちょうどその日は作曲の仕事の納期の日とかぶり無理だということを櫻子さんに伝えたら置いていかれることになったのだと

その1週間は屋敷には誰もいなくなるのだそうだ



「そこでボクですか、櫻子さんはボクなら喜んで受け入れそうですもんね」

「お前は母上のお気に入りだからな、お前が付くならいいと承諾を受けた。そして・・・」

「そして?」



うつむくさく様

その顔は真っ赤になっていて言葉を絞りだすのに手いっぱいのようで・・・そしてそれを口にした



「・・・・・・仲を深めて、関係を進展してこい、と」



ガタッ

千怜と楓が椅子から急に立ち上がる音がした



「楓、この部屋のどこかにロープなかったか?今すぐ必要だ」

「確か響ちゃんが持ってたよ。戦隊ごっこをするときに使ってるやつが。ちょっと生徒会室まで借りに行ってくるね」

「あのチビ生徒会長は学校で何やってんだ!しかもロープで何をする気だ、おい!!」

「それはなぁ・・・」

「俺の口からは恐ろしくて言えないよ、ねぇちぃくん」

「ああ、楓」

「今までに見たことないくらい一致団結してますね」

「そんな静かに傍観してないで僕を救え、瑞稀!!」

「あ、はい・・・」



そんな二人を落ち着かせ小一時間

さく様は疲れきっていた

まだキレ気味の二人を見てボクは決心して告げた



「千怜様。ボクはさく様の世話をしてきます。寺苑家からの依頼なら断れないので」

「しかしな・・・」

「これも花嫁修業というものです」

「お前意味分かってんのか?」

「・・・いつかは寺苑家に嫁ぐ身です、練習です」

「・・・・・・」



何か考え込み悲しい表情を見せる千怜、それは時々彼がみせる、本当に滅多に見ることができない表情だった

この顔の時の千怜は苦手だ

ボクが、知らないボクが千怜を悲しませてるようで

知らないうちに彼を傷つけているようで



「俺は反対だよ!みずきちがお嫁にいっちゃうなんて!!」

「気が早い、ネコミミ帽子!僕達はただ許嫁なだけで・・・」

「さくちゃんは何かとフラグが多いんだよ!なんだよ、初登場していきなりみずきちとチューしたり・・・うらやましい!!」

「そ、それは・・・!!せっかく忘れかけた事を思い出させるな!んで私情を僕にぶつけるな!!」

「さくちゃんなんか女の子に揉みくちゃにされちゃえ!!」

「なんだその地獄!?」

「お二人とも、落ち着いてください」



楓とさく様が言い争いをしている間も千怜は考え事をしている

ボクはそんな3人に向かいこう言った



「1週間だけです、大丈夫ですよ。さく様も仕事で部屋に籠るみたいですし、何もないですよ、大丈夫です」



ボクは千怜に届くように言った

そのあと、千怜からは「いいだろう」と返事が返ってきて、来月寺苑家に1週間住み込みで仕事をすることになったのだった







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学園の会議室から校門までの帰り道

千怜の帰りの迎えの車までの道のりを4人で歩く

4人共無言で歩いていた



「おい、瑞稀」



こっそり話しかけてきたのはさく様だった



「迷惑をかける。本当は公演にも行かないといけないんだ、でも納期もあったしやっぱり僕はあの家とは・・・」

「分かっています。さく様はさく様のやりたい事があるのだとボクは昔から知ってました。あなたはボクの母の意志を継いでくれてるんです、むしろ感謝したいほどなのです」

「・・・あぁ」

「だからボクはさく様の夢を応援したいんです、あなたの道を進んでいってほしいんです」

「ありがとう」





昔、ほんと昔、10年前

ボクとボクの母の前に着物姿でやってきたさく様が笑顔で



『僕、作曲家になる!優紀さんのように音楽を楽しんで届けるような、誰かを笑顔に幸せにするような人になる!』



と言ってくれた

さく様は今までにない笑顔で希望に溢れた目をしていて、そんなさく様をみて母が嬉しそうに微笑んだのを覚えていた









「ちぃくん・・・」

「なんだ、楓」

「恋って実らないものなのかな、俺はみずきちを好きでいていいのかな?」

「そんな簡単に諦められるんならそんな恋心捨てろ。そんな中途半端な気持ちで瑞稀に近づいていたのならオレがもうあいつの傍に近寄らせない」

「あはは・・・ちぃくん、みずきちのお父さんみたいだね。もちろんそんな気はないよ」

「ふん」

「で、ちぃくんはみずきちが好きなの?」

「オレは・・・」



目の前に麻が運転してる車がすでに校門前で待機していた

それを見つけ急ぎ足で車に近づいて、楓の方を振り向きこう言った



「オレは・・・あいつの主人だ。それだけだ。それだけの関係だ」



楓の目を見ながらそう言った――












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20話でした。
前回のメールの話の真相とちょっと恋関係の進展をメインに。

千怜の苦悩と桜之進も苦悩も入れつつ・・・楓にも変化があったらと思いまして。
20話ですからやっぱ恋を進めたかったのです。
桜之進の夢の話などはまた近々詳しく描こうと思います。

4人しか出なかったので騒がしさは落ち着きましたが千怜がボケにまわっていたので桜之進にツッコミさせる立場に(笑)ごめんよ!!


次回もよろしくお願いします!