オリジナル創作「瑠璃色イエスタデイ」の弐拾陸語です。



オリジナル創作連載2つ目、始動です。



なおこの作品は瀬緒さん宅「学園キメラ~俺とお前と時々キメラ~」の番外編的位置の作品で世界がリンクしていますのでご注意を。
世界観は学キメの世界の2年前の話となります。


ばらばらが少し固まったお話。


▽以下オリジナル要素含みますので注意してくださいね。







特殊能力

それはキメラの中で、同じ同族にも恐れられた存在


そんな特殊能力を持つ子供は

ある者は疎まれて、両親から捨てられる

ある者は家柄を守るために、監禁される

ある者はその力を買われ、実験道具にされる

そんな悲しい経験を持つことが多い


そんな存在さえも、一緒に救えるそんな世界はあるのだろうか?


そんな世界を私は…作っていきたいとそうずっと思っているのです





*弐拾陸語「けんあく」





「久しいな、煉咲組次期頭領…煉咲シア」

「氷導組の頭領…氷導ゼフィール様。お久しぶりです」



氷導組の当主のゼフィール、そして煉咲組の一人娘シアさんが向かい合い挨拶をする


私の名前は百目鬼シノン

14歳で、この氷導家の跡取りで頭領のゼフィールに仕える存在の身だ

ちなみにカラスアゲハと花のストレリチアのキメラだ

ゼフィールとは10年の付き合いになるのだが…



「いやぁ、ゼフィールさん。これはこれは久しぶりです。どうして急にこんな煉咲組なんかに?用があったんですか?ん?ん?」

「あぁ、ホムラ。お前はいつになっても変わらないな、うざい」

「あはは、ゼフィールさん、それは俺にとっては褒め言葉ですよ?」



相変わらず煉咲組のホムラとは険悪の仲のようで


この氷導家

キメラの世界の中での三大極道と呼ばれる存在『雪月花』

その中に入らない存在

それもそうだ…前の頭領だったゼフィールの父がは人間に殺され

まだ幼く若い彼がこの雪月花の中で一番若い当主になったのだ

そんなゼフィールを私とワタルは支え続けている

孤独で、何もかも背負い込んでしまう、そんなゼフィールを守るため



「よろしいですか?シアさん」

「あ、はい。シノンさん、今日はどうかされたんですか?」

「今日はゼフィールから、謝罪がありまして…」

「謝罪?」



そう言って、首をかしげるシアさん

まだその動作はあどけない少女そのままだ



「ああ、これは私から説明する。これは氷導家をまとめる当主の務めだからな」



そう言ってゼフィールが前に出る

そしてシアさんに説明をはじめた



「先ほど、氷導組の下っ端…まだ組に入り教育が行き届いていない輩が煉咲組の組員に絡んだと報告があってな。それの謝罪にきた」

「それはもしや…レンさんとサクヤさんの事でしょうか?」

「ああ、多分そうだ。貫雨がいたと聞いている。教育がまだ行き届いていないとはいえ…申し訳ない事をした」

「その事は聞いてます。でも…ゼフィール様はその方達をただ処分されるわけじゃないんですよね?」

「ああ。ちゃんとこれから立派な氷導組の一員として育てあげ教育しなおすつもりだ」

「はい、それこそ…ゼフィール様ですね」

「…っ。ああ……」



シアさんの言葉とその笑顔に俯くゼフィール

これは…やっぱり…

そう私が確信した瞬間、突然横入りが入ってきた



「あれれ~?何だか顔が真っ赤だね、ゼフィールさん。もしかしてお嬢さんが好きだったりして?」

「……!!!!」



一気に空気が凍った

ホムラの一言でゼフィールの動きが、固まり…



「それが何か悪い事なのか?誰かに迷惑をかけたりするのでも?」



一気に宣言した





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ん?今、お嬢さんが好きって言わなかった?

なんだかそういう風に俺には聞こえたんだけど…はて

どういう事…なのかな?

あの氷導家のゼフィールさんがお嬢さんをねぇ…



「冗談だよね?」

「何でこの状況でこの私が冗談を言わなくてはならんのだ。それに冗談、嘘はホムラのお得意ではないか。私は本気だ。嫁にしたいと思ってる」

「…………」



お嬢さんが好き?

そうか、そうだったんだね

だから下っ端の不手際というそんな些細な事件でも、お嬢さんに逢うために謝罪に来た…という事か

きっと彼にとってお嬢さんと一緒になることで煉咲の力を手に入れようとしてる魂胆かもしれない

でも、でも、彼の目は

お嬢さんを見る目は…


本気のような目だった



「ありがとうございます、ゼフィール様」

「!?!?」

「え、え、お嬢様!?一体何を?」



いきなりのお嬢さんの言葉

これにはマツリさんもかなり驚いている

ありがとうございますって…まさか受け入れるつもり?

だって、お嬢さんは…あいつを好きなんじゃ?



「私もゼフィール様好きですよ」

「シア…そうか…なら…」

「それにシノンさんも、ホムラも、マツリも。皆大好きです」

「「「「……………」」」」



その場にいる全員が一気に無言になった

それはそうだ、お嬢さんは世間知らずで、こんな子だった



「あれ?どうしたんですか?」

「残念だったね~ゼフィールさん。フラれたね?」

「こ、これはちゃんとシアに言いたい事が伝わってなかったんだ!なんでホムラにそんな事言われなくちゃいけなんだ!?」

「あれれ?負け惜しみ?言っとくけど俺はゼフィールさんは認めないからね?どうしてもっていうなら俺を倒してから告白してよね?」

「お前はどこぞの父親か!?お前なんて存在無視してシアにアプローチし続けてやる!」

「ふふん。そんなの阻止しまくるに決まってんじゃん。ゼフィールさんなんかに負けないからね」

「貴様…」


「ホムラ、喧嘩はやめてください!そしてゼフィール様も…なんでこんな事に?」

「はいはい、お嬢さんが言うなら」

「ふ。シアの犬め。あ、狼だったかな?」

「ゼフィールさん?帰り道と夜道には気を付けてね☆」

「もう、ホムラ!!」



そんな会話をしている時だった



「あ、氷導家の…当主なんだぞ!」

「ソウマ、屋敷にいたんじゃなかったんですか?」

「いや、ちょっと気になる情報を手に入れたんで…確認に来たんだぞ」



そう言ってやってきたソウマさんはゼフィールさんに向かい言った



「結界の特殊能力が暴走してる少女がいるって情報…本当?」





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「結界の力の特殊能力が暴走…?ですか…?」

「そうなんだぞ。僕も先ほど手に入れた情報なんだけど…これに一番早く対策を練ったのが氷導組だと聞いたんだぞ」

「そうなのですか?ゼフィール様?」



あの隠密…確か桐霧ソウマと言ったか。どうやら使える忍のようだ

ここまでもう知られていてはもう取り繕う必要はないだろう

特にもう先程小森組のレッドやチヤに会っているのだからもうバレかけていたのもそうだしな

そう考えた結果、私は応えた



「そうだ、私が見つけた案件だ。長い間…2年間、その女は結界の中で閉じこもっているようだ」

「結界の特殊能力が暴走するとそうなるんだ…。へぇ」

「ホムラ、今はそんな事を考えてる暇はないはずですよ」

「はーい。相変わらずマツリさんは面白くないね」

「お、面白なくて結構です!」



そんなホムラとマツリの漫才を見ていた中、シアは何かを考え込んで、自分の元に歩き出してきた

近い、そんな近くにまでくるのか!?

そしてそんな妙に緊張してる自分と違い、シアが発したのは彼女らしい言葉だった



「その事件…この煉咲組も解決に参加したい。させてください」

「ふふ、さすがシア。そうこなくてはな…」



私はこの案件の解決には特殊能力の力が必要である、という事を考えていた

だから私は一緒に解決するというシアの提案を拒否する理由はなかったのだ


とそんな事を考えていた時、ある事を私は思いついたのだ



「なぁ、シア。先程この件では小森も関わっている事がわかった。レッド自体、あいつは特殊能力は持っていない。だから苦戦はすると思う。お前の組みたいに私の組は特殊を専門にする生業ではないからな」

「……。はい。それは分かってますが…」

「三家合同でこの事件を解決するってのは…どうだ?」

「!! そ、そうですね…小森組がいれば心強いですし。それに三家あると解決の糸口がすぐに見つかるかもしれませんしね」



小森組への過剰の期待とその根拠はどこから出てくるんだ?

しかしシアがそう自慢有り気で言うんだ。きっといい方向性にいく

私はそう思ったのだ



「まずは肝心のレッドの意見を聞かないと何も始まらないけどな」

「それもそうですね」

「えー。レッドさんも呼ぶの?俺はそれはつまらないかな」

「お前の気分次第で作戦を変えるなんて事はしないからな、ホムラ」

「わかってますって。もしかしたら小森組がもうすべて片付けていたりして。いやあの方達だ、あり得るよね?」

「は!?」

「まぁ嘘だけど」

「……ホムラ。お前……」

「ゼフィールさん、相変わらず怖いってば。何事も穏便に。ね?」

「お前のせいだろうが…!!」



こうして私の氷導組と煉咲組、まだ決まってはいないが小森組でこの案件を解決する

そう一応決定し、一時的に協力する事になった…

大丈夫なんだろうか?



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小森組のとある一室にて



「小森組…小森レッド。思った以上に素晴らしい方だ。この調子ならオレのこの力も何かに役に立つ日がくるのかも、な」



オレのこの能力…オレは一番これを嫌っていた

毎日毎日、何かの研究の実験材料にされ、周りの仲間も死んでいくやつもいた

昨日まで仲間と一緒に共にいつ死ぬか分からない日常に怯えながら暮らしていた日々…この生活になる前は何をしていたのか

どんな生活をしていたのか…あまり覚えていない

でも覚えているのは…大切な兄と妹がいたという事

その家族に会うためにここから出ないといけない、そうずっと思ってた


だけどそんな日々も実験実験の繰り返しで、オレは…狂いそうになっていった


そんな日々から抜け出せた今、オレは自分の力を活かせる場所をやっと…やっと見つけたんだ



「この4年間大変だったな、抜け出してきた仲間と暮らしてたけど皆、死んじゃったし」



そんな仲間も実験の副作用が酷くなり亡くなって…全て失い、1人で、捨てるように生きていたオレの前に現れたのが小森レッド

レッド…若は、オレの特殊能力の暴走を見抜き、無効化してくれた

そのままオレは彼についていき、今、ここにいる

そんなオレの今の目的は…



「兄ちゃんと、妹に…逢うんだ。逢いたかったんだ…絶対に、叶えてみせる」



ただ、たった2人の家族に逢う事なのだ



「チヒロ、お前こんなところにいたんですか」

「若!お疲れ様です!あなたのチヒロ、今ここに参上です!」

「……やってきたのは俺の方だろう。まぁいいです…チヒロ、初任務ですよ」

「任務?任務ですか!ついにオレの初任務ですか!?やったぁ!!ありがとうございます、若!!愛してます!!!」

「最後の一言はいりません。……結界の特殊能力の暴走を煉咲組、氷導組と合同で抑える任務に入りますから。チヒロも……」



そこまで言った時、若の言葉が詰まった



「…?何かあるんですか?若?」

「いや…その暴走してるキメラがいる場所がですね…」

「場所が?」

チヒロ、お前が昔いた研究所の跡地なんですよ

「え……?」








「はぁ、つい数日前までここで働いてたって…なんで運がこんなに悪いかなぁ。……待ってろよ、チヒロ、サクヤ。お前らはこの俺が…お兄ちゃんが…絶対見つけてやるからな」




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26話でした。
ちょこちょこ時間がある時に書いててようやく完成しましたので。お待たせしました。
今回はゼフィールくんメインです。視点的にはシノンからホムラ、ゼフィール、そしてチヒロという感じで移り変わっていきます。そしてチヒロ…本格的登場ですね。ちょっと前に登場はしてたんですが覚えてましたかね?
そして最後の人物は…?
一本に繋がりそうでまだまだなこの話、よろしくお願いします。
あ、そして小森、煉咲、氷導が組みましたね。兎影ですが、彼らにはまだメインの話を予定してますのでお預けにしました。最初は氷導組が出る前の予定では兎影組だったんですがね。急きょ変更に。

挿絵はゼフィールくんを。
照れるゼフィールくん…珍しいのではないかな?と楽しく書かせていただきました。
彼がどういった感じでシアを好きなのか分からなかったのでこんな曖昧な感じに…ベアトさん、できれば詳細教えてもらえると助かります。

次回はラストに出たあの人物が…?次回もよろしくお願いします。ここまで読んでくださりありがとうございました!