オリジナル創作・青春センセーション!の番外編短編になります。



この作品はオリジナル創作です。
オリジナル要素が大丈夫な方だけ追記からどうぞ!

280万HIT突破記念リクエストの第2段目です。
時期は本編1話の数日前の入学式より前のお話。


▽以下オリジナル創作含みますので注意してくださいね。




「あー…めんどくせぇ。なんでオレがこんな事しなくちゃいけねぇんだよ」

「もう。文句言わないの。生徒会長なんでしょう?しっかりビシッとしてないと」

「生徒会長だからって関係ないだろ?…彩音。お前だけ行って来い」

「私だけじゃダメだって言ってるでしょ?ほら行くわよ」

「あー……」



面倒だからと言って帰ろうとする目の前にいる生徒会長を押して校舎を歩く。

春の日差しが眩しい三月。
春休みに入っていた私、伊里谷彩音と同じ学年で腐れ縁の生徒会長・高比良結弦は
写真部とファッション部のお願いで学校に来ていた。

どうやら『モデル』をやってほしいの事。

この学園で二年生の後期の頃に生徒会長・副会長になった私と結弦はある意味かなり目立っていて。
三年生が卒業した今、頼れてそして顔が知られているのは私達だ、という事になったのだろう。


それでモデルを依頼された訳だが…。



「……はぁ、めんどくせぇ」



この通り。
肝心の生徒会長さんがこの調子だ。いい加減結弦を引っ張るのも疲れてきた。



「もう!しっかり歩いてよね。なんで私が引っ張っていかないといけないのよ」

「オレ行きたくねぇし。寮帰って寝てぇんだよ」

「寮に帰るな!これ終わったら生徒会の仕事があるんだから!
 悠希と葉月に仕事任せてるんだし…帰るなら生徒会室に帰りなさい!」



そう言いながら結弦を押して学園の敷地内を歩く。
なんで、私が、こいつを、押して歩かないといけないわけ!?



「あ…ーもう分かったって。彩音はしつこいからな…逃げらんねぇって事は分かった。ほら、とっとと行くぞ」

「わ…っ」



突然押していた結弦が急に動き出し体勢が崩れる。
そこをさらりと助けるように手を引き、そのまま歩き出す結弦。
なんだ、自分で歩けるじゃない。



「自分で歩けるなら最初から歩きなさいよね」



そう結弦に文句を言いながら彼の後を付いていく。
そんな感じでなんだかんだで腐れ縁なのだ。



+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++



「高比良先輩、伊里谷先輩。今日はモデル役よろしくお願いします」

「こちらこそ、今日はよろしくお願いします」

「ああ…よろしく」



辿り着いたのは写真部の部室。
写真部部室の中には撮影ゾーンがあって、そこにはカメラに反射板などなど撮影に必要なものが揃っている。

色んな部活があるこの蒼響学園で写真部はメジャーで部員の数も多い部活だ。
でも今日は二年生、一年生の中の限られた数人だけが部室にいる。
そして…。



「じゃあまず着替えてもらうわね。さぁ高比良くんはこっちで、伊里谷さんはこっちね」

「……やっぱ着替えるのかよ」

「うん。だってこれを高比良くんに着てもらうためにお願いしたんだし…いやなんでもないわ。聞かなかった事にして?」

「完全に聞こえてるんだけど?」



ファッション部の部長と部員数人も来ている。
どうやら衣装はファッション部の趣味で作られたもの…らしい。



「さぁ二人共着替えてきて。時間は有限なのよ!」



衣装を手渡され、グイグイと別々の部屋に押し込まれる私と結弦。
相変わらずこのファッション部の子は色々と押しが強い子で色々と強引だ。
結弦がキレなければいいけど…。



「さて…何を着れば…って、ええ!?」


私は手渡された衣装を見て驚愕するのだった。



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「は…恥ずかしい…」

「恥ずかしがることなんてないわ伊里谷さん、可愛い!」

「ちょ、おだてないでよ…まさかこんな格好する日が来るなんて…」



手渡された衣装、それは…


いわゆるメイド服っていうやつだった。


スカート丈は短いタイプではないので元祖メイドさんという感じだけれども
やっぱりこういう格好は恥ずかしい。
ファッション部の部員からメイクを少ししてもらい整えてもらってまた私は写真部の部室に来ていた。



「やっぱり伊里谷さんって可愛いよな」

「ちょっと気が強いけど優しいし面倒見はいいしな」



写真部の男子がこちらを見ながら何やら話している。
完全に見世物じゃないの…恥ずかしい。
まさかこんな罰ゲームみたいな事をさせられるとは…ちょっとこの話を引き受けた事を後悔していたその時…!



「なぁ…こんなんでいいのか?ちょっと堅苦しいんだけど…」

「「「!?」」」



ファッション部の女子達のお目当てがやってきた。

堅苦しい。そう言いながらもきちんと着こなしている。
そんな結弦が着ていたものは…


執事服だった。


しかもきっちりと白手袋とメガネは外してモノクルに。
制服姿の結弦とはイメージが打って変わって真面目で清楚な執事に見える。
そう、見た目だけは完璧執事だった。



「高比良くん…やっぱり似合うわ」

「うんうん、やっぱり見立ては間違いじゃなかったのね」



このようにファッション部女子には大好評だ。
だけども…。



「あー…この服きっつい…」



中身はいつもの結弦のようだ。というかそのまま結弦だ。



「ちょっと執事なんでしょ、しゃきっとしなさいよ。しゃきっと」

「うるせぇ。彩音もメイドなんだろ?ならおしとやかに行動しろよな。
 お前みたいな馬鹿力な女じゃメイドには見えねぇぞ」

「失礼ね」



本当に中身はただの結弦だった。
でもやっぱり外見だけはいいので写真部とファッション部の女子には大好評のようで。

ほんとどこがいいんだか。
そんなひねくれた考えを抱きながら写真部の撮影がはじまった。



「高比良くん。手をこの位置で、こう手袋を咥えて…このポーズで…そうそのままストップ」

「あ?……こうか?」

「そうそうそのまま流し目でお願いね」

「……あーはいはい」



もう観念したのか素直に指示に従う結弦。
やっぱり見てるだけなら執事姿は似合ってるかもしれない。
何だか悔しいけど……。



「じゃあその隣に伊里谷さん並んで」

「…は、はいっ!」



緊張してへんな声が…!
モデルなんてした事ないからいきなり呼ばれてしまったせいでガチガチになりながら結弦の隣に並ぶ。
そんな私を見てほくそ笑む結弦が見えたけどここでは衣装を着てるのもあって蹴りもいれられない。



「手と足一緒に出てるぞお前」

「うっさいわね。後で覚えてなさい」

「あんなに生徒会選挙では堂々としてたのにこんな所で緊張すんのかよ。変わってんな」

「しょうがないでしょ。あれはあれでいっぱい練習してたし。
 モデルなんてはじめてなのよ…」

「そんなガチガチじゃいつまで経っても撮影終わんねぇだろ緊張やめろ」

「無茶言わないでよ」



いつものように結弦と私の言い争いがはじまる。
それでも私の緊張は取れなくて…どうしてもガチガチのまま…。

緊張で動けない私の横で何やら結弦が動いた気がした。



「…………お嬢様。何を怖がっているんですか?
 ほら…しっかり前を見て、深呼吸をして…そしてこの私めを見てください?」

「え…?」



私の目に映ったのは、執事のような振る舞いで緊張する私の手を取る結弦だった。



「!!」

「いい絵だわ…!今よ、シャッターチャンス!」



いきなりすぎる結弦の対応に戸惑っている所にカメラのシャッター音が響く。
一回、二回、三回。
数回響いたその音を横で聞き、そして。

いつの間にか撮影は終了していた――……。



++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++



「はぁ…もうモデルなんてしなくていいわ。疲れた」

「お前は何もやってねぇだろ。こっちの方が疲れた…」

「…む」



いい絵が撮れた!と喜ぶ写真部とファッション部の判断で撮影は終了していた。
終わった瞬間、さっさと手を離し着替えに戻った結弦。
早めに撮影を終わらせたいのもあったのだと思うけど、
彼は彼なりに私を助けてくれたのだと思う。こいつはこういうやつなのだ。

それにあんな執事の真似事もすんなりこなしてしまう。
そんな器用なこいつが正直羨ましい。

結弦が生徒会長に選ばれたのはそんな彼の器用さもあるのだと思う。
そしてカリスマ性。正直これは羨ましいほど才能はあると思う。
本当に悔しいけれど。



「……ありがとね、助けてくれて」

「あ?なんだって?」

「なんでもなーい。ほら、悠希と葉月が待ってるわよ。
 来月の入学式の話し合いしなくちゃ」

「あーオレもう疲れたから帰りたいんだけど…」

「会長がサボってどうすんのよ。私が副会長の間はそんな事許さないんだから」

「じゃあオレが卒業するまで許されねぇじゃねーか。地獄だ…この先のオレの最終学年の生活が地獄で染まる未来が見える…」

「ちょっとそれどういう意味よ!?」



春の日差しが眩しいこの季節。
数日後、この学園に入ってくる新入生達にこの人が好かれるように。
この人の良さが伝わる事を夢見ながら。

仲間が待つ生徒会室へ二人で向かったのだった――……。


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青センリクエストの第2段でした。
280万HIT突破記念のリクエスト企画でリクエストをもらったベアトリーチェさんからのリクの「結弦と彩音でモデル体験」というシチュエーションです。
モデル体験と聞いてこの二人が…と悩んだ結果こんな形に。生徒の頼みじゃこの二人は断らないだろう。
時期的には蓮達が入学してくる数日前の話です。
なのでまだこの二人は二年生設定ですね。もちろん悠希や葉月、朔真や晃介や周もまだ一年生です。

この二人だけで書いたのははじめてかな?腐れ縁みたいな右腕みたいなそんな立ち位置の二人ですが、まぁそんな感じが出てたらいいなと。ちなみに結弦の執事と彩音のメイドはかなり似合うと思います…!

ベアトリーチェさんリクエストありがとうございました!